どうぞ↓
いったい、これは何でしょう?
就職のための資料でしょうか?それとも、何かの論文でしょうか?重要な資料でしょうか?あるいはJISか何かの規格書でしょうか?
これは、夏休みの宿題です。
は?と思うかもしれませんね。本当です。
物理の夏休みの宿題で、"惑星の軌道計算"というものが出ました。手計算でやりますが、Excelなどの表計算を用い、それをプリントアウトしてもOKです。初期条件は1人1人違いますが(出席番号、クラス番号を使うから)、それを代入する計算がPCでは簡単にできてしまい、しかも0秒~5秒まで0.5秒刻みでやるので、手書きよりは圧倒的に楽ですが、これでは課題の意味がありません。もちろん、自分でやる人は除く。
このblogを読んで下さってる方なら、私が物理が嫌いなことを知っているでしょう。しかし、夏休みの課題が発表された時点で、ずっと
"こんな課題、やる意味があるのだろうか。課題を自分でやらず、他人に委託することが先生には見え見えなのに、なぜあの先生はこれを出したのだろう?"
と考えていました。もちろん、私と気の合う友人などとも課題について話していました。コンピュータを使う理由をよく考えるべきだ、この程度の計算なら出来てしまう。などとね。
とある、開発者ともいえる、それは頭の良い友人がいます。彼は言われたそばから自らプログラムを作成し、番号・名前を入力したら全員分のデータの生成できるプログラムを作りました。この課題ではグラフの作成も含まれていますが、それさえも出来てしまうプログラムです。案の定、"データをくれ"だの"俺のもやって欲しい"という人もいました。まあこの課題からすれば当然かも知れません。
それはさておき、私たちは"コンピュータを使う意味"というのを大事に考えていました。まずは彼のコンピュータに入っている表計算ソフトの行数を極限まで使って時間の刻みを細かくすることにしました。そのときはOpenOffice.org calcで65535行までだったので、それに近い行数で計算、グラフも点だけで描画できるくらい滑らかになり、かつ楕円がとても歪みなく美しいものになるのです。(提示された条件でグラフを描画するとかなりいびつな形になる)
そこで、私たちは"コンピュータを使うのだから、それに見合うものを"という結論に至る訳です。これは自然だったかもしれません。全く変わり映えしない物を普通に出しても面白くないと、そのときはなぜかそう思えたのです。なぜか燃えてきました。
そこで、今回の計算法の場合、"時間をいかに細かくするか"というのが焦点でした。時間を細かくするには、表計算ソフトを使う場合、その行数に依存するわけです。Excel 2003、OOo calcでは65535行まで、しかしExcel2010などでは更に行数が増え、1048576行です。かなり増えました。もちろん、これでは行数がぴったり使えないので最大限利用することに。精度は大幅に上昇しました。もちろんグラフもキレイなまま。
私は、"どうせ100枚くらいだろうから、製本してハイクオリティで出してやろう"と思いましたが、いざ印刷プレビューを押すと、そのページ数には閉口しました。なんと
33900ページ。
製本出来ないどころか、印刷すら不可能な領域です。字を小さくしたのでは読みにくい。歯がゆさがありました。しかしとにかく精度にこだわりたい。 単純計算で、精度を1/10にすればページ数も1/10、1/100にすれば300ページ程度でまあ現実的か。
私はこの1/10の精度でやることにしました。
さらに、Excelの数式表現能力のなさ、数式の汚さに納得がいかず、何だか負けた気がしたので、
全く狂気の沙汰としか言えません(笑)
まず最初の課題はこのあり得ないほどの量の表をいかにのソースファイルに組み込むかです。調べるとExcelを形式に変換できるマクロがあるではないですか。早速これを使ってみましたが、表が多すぎてか知らんが動かずwこれは困った。それから変換ソフトやらをずっと探すが良い物がない。これは困った。
で表を書くには、そのためのコマンドがあり、さらに表を書くための入力規則があります。各ページに表の項目(何の数値なのかを示すもの)を表示させつつ、各列は&記号で区切る必要があります。調べたところで複数ページにまたがる表を作る場合の命令は、一般的な表のtabularではなく、longtableという命令を使います。これもtabularとはちょっと違った記述になります。(ほとんど似ていますが)
これで、複数ページに表をうまく配置することができるはずです。後は罫線を入れるために、各行の間に&を挿入する課題です。これは原始的に、予めExcelの方で、各列の間に1行を挿入してしまい、それをオートフィルで&を全行に挿入することにしました。こうすることで、でコンパイルするための表の前後に書かなければならない命令(記述)を私が書き、表自身は&で区切るだけなので、Excelの方で&を挿入し、それをコピー&ペーストして、その前後に命令を自分で書くことにしました。原始的ですがこれが一番うまくいきました、というか表が(多すぎて)重すぎてどのマクロも動かないんですよw
これでオールOK。あとは私のセンスでカッコ良く仕上げていきます。
ますは"まえがき"を書くことにしました。数学の教科書に書いてある(これもを使って書かれている)、あのすごく真面目な文体で、カッコ良く
表紙
まえがき
目次
第1章:計算方針などまとめ(§1~§3までで構成)
第2章:t=0~1.0秒
§1:t=0~0.5
§2:t=0.5~1.0
第3章:t=1.0~2.0秒
§1:t=1.0~1.5
§2:t=1.5~2.0
第4章:t=2.0~3.0秒
§1:t=2.0~2.5
§2:t=2.5~3.0
第5章:t=3.0~4.0秒
§1:t=3.0~3.5
§2:t=3.5~4.0
第6章:t=4.0~5.0秒
§1:t=4.0~4.5
§2:t=4.5~5.0
第7章:まとめ(グラフや計算、考察など、§1~§5までで構成)
となりました。
セクションで区切ったり、1秒ごとに章で区切ったため、更に修正が必要になりましたが地道にやりました。課題として更に与えられている計算を、従来通りの精度と高精度で(元データの使用方法を変えて)計算し、その精度を比較してみました。精度はやはり上がります。このあたりの計算経過までもPCで書く場合、やはりに軍配が上がります。やはり使ってみるとこちらのキレイな数式が好みです。
結局、ページ数は2244。
製本業者は綴じ厚の制限がありましたので、ファイルを買ってきてそれに綴じることにしました。これでも、A4サイズで綴じて提出という指定は守っています。(笑)誰も異論ありませんね。
これをあのときの友人たちに"まあまさかやらないだろう"と思わせておきながら、実は秘密裏に進めていました。精度向上の話は、3・4人で冗談で話していたものですから、大部分の友人は知りません。それにまさかやるとはw
さ、夏休みも終わり、いよいよ物理の授業の日です。夏休み明けの授業で提出ということで、私は忘れないように持って行きました。度肝を抜くというか、ブチ抜いてやりましたよ。そらあ。みんなの驚いた顔が浮かびますね(笑)一同大爆笑。
もちろん提出しましたよ。あの先生の顔。笑いながら"すごいですねーw"と言っていました。
あ、ちゃんと非常勤のあの先生のことを考えて、持ち帰りやすいように紙袋に入れて提出しましたけど?(笑)
これ、見た目のインパクトもさることながら重さもハンパない。重さを量ったら5.4kg(笑)
そして、今日は夏休みの課題が返却された訳です。
みんなには、赤ペンで先生のコメントが添えられていました。事前に先生に"最後の部分が良かったよw"
これが入ってました↓
まさかの封筒wこれがファイルに貼り付けてありました(笑)
そして中には
まさかのお手紙wよく読んでみてねwしかもこれを論文という風に解釈して下さってるw私はもちろん、友人たちと読んで更に大爆笑w腹が痛いったらないわw
"第2章からの計算結果につきましては、これだけの紙数を印刷しなくても、PDFファイルがあれば十分だとも思いました。"ごもっともwwwww全くです。ホント腹痛いw
"しかし、表の美しさ、この表を打ち出すことにかけた労力を考えると、これも一つの表現方法で良かったと思います。"
もうホント笑うしかねぇ。てか本当に笑い過ぎて腹が痛い。こういった真面目な手紙に・・wあー腹痛いw
何て面白いんだろう。極めつけには
"追伸:ささやかですが、商品券を同封しました。これではとてもたりませんが、印刷用紙代にでもあてていただければ幸いです。"
何て素敵な人なんだろうwそこまでして頂かなくてもwむしろこれは別次元の話であってw
何だか申し訳ないです。
紙代はそれほどでもありませんが、自分で印刷したのでインク代の方が高いです。もちろん自分がやったので自分で責任を取ります。元は取れませんがw大変申し訳ないですが暖かな気持ちと共に受け取らせて頂きます。本当にありがとうございます。
正直に言うと"こんだけ分厚いんだから、絶対に読めるはずがない"と高をくくってましたがそれは違っていました。先生はお読みになったようです(笑)
何と、最後のまとめの部分で、計算結果で使う値が違っていたのを(多分抽出のズレか勘違い)鉛筆で薄く直してありました。本当にすごい先生です。手紙を読んだら分かると思いますが、何と感謝の言葉まで。私は何もしてませんて。いやいや。しかもこの課題が6点満点のところ12点頂きました。本当に申し訳ありませんでした。簡単に言うと100点満点のテストで200点取るようなもんですよw
すごく複雑です。後でお礼を言おう・・・
まとめます。
手に入れた物
・普通じゃ考えられない厚さのファイル
・ガイド付き穴あけパンチ(今回購入)
・の技術、PCの技術
・限界突破した、6点満点中12点という前例のない点数
・笑い、楽しいひととき、思い出
・後悔と反省
・笑い過ぎによる腹痛
・批判
・肩こり、目の疲れ、だるさ、とにかく疲労
失った物
・金
・紙
・付録用のCD-R 、ラベル、不織布ケース
・インク
・電気
・時間
・体力
・気力
・元気
・この課題に対する普通な心
・印刷中の心のゆとり
・製本中の心のゆとり
・収納スペース
失った物の方が多いという意見があるかと思います。知りませんね、そんなことw何かこの学校に来て良かったなと思っています。すごく思い出に残りました。
あと、補足しておきますが、Excelで頑張ると(提出したやつの10倍の精度)、ファイルサイズがExcelなのに193MBになります。開くのに時間がかかる。
のソースファイルはテキストのくせに11.4MBwコンパイルして(グラフ入り)PDF化すると17.8MBw私は生まれて初めて"Excelが重い"というのを体験しました。のコンパイルだっていちいち時間がかかる。加筆修正→コンパイル→チェック→修正・・・・・気の遠くなる作業でした。
かなりおすすめですよ。やってみては。
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